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FORGING 鍛造技術

鍛造とは?

鍛造(たんぞう)とは、金属を加熱し、圧力を加えて目的の形状に成形する加工方法です。刀や鍬(くわ)の製造に用いる伝統的な技術でありながら、現在では自動車や航空機、医療機器、建設機械など、あらゆる産業の発展を支える精密部品の製造に広く活用されています。

最大の特長は、鍛造加工によって金属組織が加工方向に沿って繊維状に配向し、鍛流線(ファイバーフロー)が形成される点にあります。
この鍛流線構造は、結晶粒の配列が塑性変形により延伸されることで、内部欠陥の進展を抑制し、応力集中を緩和します。

その結果、切削加工品や鋳造品と比較して、優れた引張強度、疲労強度、靭性を有する高信頼性部品の製造が可能となり、過酷な使用環境下でも安定した性能を発揮します。

なぜ今、鍛造技術が
求められているのか?

近年、自動車の電動化(EV)や航空機の軽量化・高性能化、医療機器の精密化が進む中で、製造部品に対する要求はますます高度化しています。

  • 「より軽く、より強く
  • 「複雑形状や難加工素材にも対応したい」
  • コストと品質の両立を図りたい」

こうしたニーズに応える加工技術として鍛造が活用されており、最終製品形状に近い形で鍛造することで材料ロスを抑えるネットシェイプ化や、軽量かつ高強度な合金を用いた鍛造など、ニーズに応じた技術の活用が進められています。

当社の鍛造技術を活用している業界

自動車業界

クランクシャフト、コンロッド、歯車(ギア)、ホイールハブ、ドライブシャフト

航空・宇宙業界

エンジン部品

医療機器業界

インプラント(人工関節)

鉄道・船舶業界

ピストンロッド、油圧ダンパーなど
大型高強度部品

エネルギー業界

タービンローター、タービンブレード、
シャフト、バルブ・ハブ類

農業・産業機器
業界

車軸・ホイールハブ、ブレード、
アーム部品(ショベル、リフトなど)、
油圧シリンダー部材

CORE 遠藤製作所の
鍛造コア技術

エアハンマー鍛造
(Air Hammer Forging)

自社でエアハンマーを設計・組立、メンテナンスするなど加工方法のみならず、その加工設備に至るまで深い知見を有しています。日本の日亜鍛工では業界最大級となる16tのエアハンマーを保有。タービン用部品・鉄道・建設機械部品といった大型部品の製造が可能です。

  • 複数の工程に対応した金型により、完成品形状までの加工が可能。
  • 打撃力の強弱をコントロールできるため、複雑な成形が可能。
プレス鍛造
(Press Forging)
一定の力と速度で加工するため、安定した品質による大量製造を実現。
  • 製品に近い形状で鍛造するネットシェイプにより、切削工数の削減・コストダウン。
  • チタン合金やコバルトクロム合金など高価な材料にこそ大きなメリットを発揮。

FORGING POSSIBILITIES 遠藤製作所の鍛造技術で
実現できること

01.軽量化と高強度の両立

鍛造により高強度化を実現するとともに、小型化を実現。さらに後続部品の軽量化につながる。

02.難加工素材部品の開発

チタン合金・コバルトクロム合金など難加工材の対応が可能。航空や医療など部品製造に豊富な実績。

03.大型・高負荷部品の鍛造品

3t〜16tエアハンマーによる大型部品の鍛造が可能。建機・鉄道・エネルギー分野などへの供給体制を構築。

04.小ロットかつ多品種製造

金型製作から鍛造、加工、検査に社内一貫体制。開発初期の試作フェーズから量産対応までを迅速に展開。

05.短納期での製品の立ち上げ

金型・治具の自社製作により、設計変更や仕様調整にも即応。急な量産立ち上げにもスピーディーに対応。

FEATURE 遠藤製作所の鍛造の特長

遠藤製作所は創業以来70年以上にわたり、
ものづくりの根幹を支える金属塑性加工技術の研鑽と応用を重ねてきました。
現在では、自動車、航空機、建設機械、医療機器、
鉄道など、
社会を支える幅広い産業分野に対し、
高精度・高強度な鍛造部品を提供しています。

お客様の製品開発や課題解決に対して、
技術の幅、提案力、品質対応力のすべてを備え、
お客様の事業成長をともにつくるパートナー
あり続けます。
設計構想段階からのご相談も歓迎です。

01. 豊富な鍛造工法

製品の形状・サイズ・用途・材質に応じて、最適な鍛造工法を選定。
エアハンマー鍛造やプレス鍛造など複数の手法を組み合わせ、品質・強度・生産効率・コストの最良バランスを実現しています。

さらに、業界最大級の16t大型エアハンマーによる大型部品対応や、ネットシェイプによる材料ロスの抑制・軽量化など、製品特性に応じた最適解を導き出す柔軟な生産体制を構築します。

02. 多様な素材への対応力

材料特性に合わせた温度制御技術により、チタン合金やコバルトクロム合金、アルミ合金など多様な素材の鍛造が可能。さらに、航空機・医療機器分野で使用される難削材の機械加工にも対応しています。

03. 鍛造を支える補完技術

CAE解析
(シミュレーション)
材料流動や応力・ひずみを成形前に可視化し、不具合や金型修正を事前に予測。初回試作成功率を高め、コスト削減とスピードアップに貢献。
金型設計・製作 設計から製作まで社内一貫対応により、設計意図を正確に反映しつつ短納期化を実現。高精度設備とノウハウを活かし、複雑形状にも対応した高品質・高再現性の金型量産を可能としています。

04.品質を支える前後工程

01.材料調達

国内外のサプライヤーから材料を調達でき、安定した供給を確保しています。特に医療機器・航空機分野では素材評価設備を保有しており、安全性が担保された素材を使用した製品の提供が可能です。

02.ショット・機械加工・研磨・めっき加工

最終製品の要求に応える各種後工程を完備。最新設備と職人技を融合し、医療分野に求められる高い品質基準に対応。

03.精密測定・検査体制

3次元測定、X線CT装置による非破壊検査、蛍光浸透探傷、マイクロスコープを保有。AS9100(航空機事業推進室)、IATF16949(ENDO FORGING)、ISO13485(医療機器部)などの認証を取得し、国際的な品質要求にも準拠。

METALSLEEVE メタルスリーブ技術(超薄肉金属塑性加工技術)

不可能を可能にする、
10μmの
超薄肉シームレスパイプ

金属製シームレスパイプを厚さ10μmという超薄肉加工する技術および、そこから生み出される製品を「メタルスリーブ」と名付けました。メタルスリーブは金属塑性加工技術の結集した遠藤製作所固有の技術です。

メタルスリーブは温間深絞り加工と独自のスピニング加工を複合した製法により、従来の技術では不可能とされていた高精度かつ超薄肉管の量産化を実現。ステンレス、鋼、チタン、チタン合金、ニッケル合金、銅、真鍮、クラッド材などさまざまな金属に対応します。
日本、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスで製法特許を取得し、グローバルな展開も目指しています。

製品実績の一例


定着ローラ

加熱ローラ

バッテリー
ケース

モーターカバー

シームレス
ベルト

シームレ
スリング

モーター部品

駆動ベルト

電子部品

光学部品

ABOUT メタルスリーブの概要

加工寸法
直径 φ3mm~φ80mm
厚み  0.025mm~
全長 最大400mm
表面粗度 Ra≦0.3μm

全長および厚みの加工範囲は直径によって異なります製品仕様によっても変わりますので、ご相談ください。

寸法精度
内外径 ±0.02mm~0.05mm
厚み  0.025mm~ ±5%~10%
全長 ±0.1mm~0.2mm
対応材質
ステンレス SUS304/SUS305/SUS316L/SUS430など
チタン 純チタン/βチタン(Ti-15-3-3-3)/64チタン(Ti-6Al-4V)など
ニッケル合金 純ニッケル/インコネル718/インコネル625/パーマロイ など
その他 鉄/銅/アルミ/クラッド材など10%以上の伸びを示す金属

強度、耐食性、熱伝導性、透磁率といった特性に応じて材料の選択が可能

THERMAL METAL SLEEVE 高熱伝導メタルスリーブ

クラッド材メタルスリーブ

異種の金属を圧接したクラッド材をメタルスリーブの技術で超薄肉シームレスパイプに加工。例えば、「ステンレス・銅・ステンレス」の3層クラッド材を加工することで、ステンレスの強度と銅の熱伝導性、両方の特性を有した超薄肉シームレスパイプとなります。

加工寸法
  • 直径:φ18mm〜φ45mm
  • 板厚:35μm〜100μm
  • 全長:150mm〜400mm
対応材質(一例) ステンレス-銅-ステンレス
ステンレス-銅-ニッケル 他
熱伝導性の比較データ

面方向の熱伝導データを見る

他材料のシームレスパイプよりも、遥かに高い熱伝導性を有しています。

積層メタルスリーブ

メタルスリーブ技術で加工した薄肉シームレスパイプの表面に用途に応じた金属を積層。例えば、強度が高いステンレス製の薄肉シームレスパイプの上に、熱伝導性の高いアルミ材を積層させて、ステンレスの強度とアルミの熱伝導性の両方の特性を有したシームレスパイプを提供します。

加工寸法
  • 直径:φ10mm〜φ30mm
  • 板厚:100μm〜300μm
  • 全長:150mm〜400mm
対応材質(一例) ステンレス-アルミ
純鉄-アルミ 他
熱伝導性の比較データ

厚み方向の熱伝導
面方向の熱伝導

ステンレス単独の薄肉シームレスパイプに対してアルミ層が熱伝導性を補完しています。
表面に積層する金属により、耐食性や透磁率などの特性を付与します。

EXAMPLE メタルスリーブの加工例

超薄肉シームレスパイプ
板厚40μm以下の超薄肉加工を実現することで、樹脂フィルムのようにスリーブを撓ませて使用することが可能となります。耐熱性、耐食性、耐摩耗性、剛性に優れています。
直径 φ18mm〜φ45mm
板厚 27μm〜100μm
全長 〜420mm

 

薄肉シームレスパイプ
他工法では実現困難な板厚100μm以下の薄肉加工を実現。耐熱強度や耐食性を備えた薄肉シームレスパイプです。
直径 φ10mm〜φ30mm
板厚 100μm〜300μm
全長 〜420mm

 

小径・超薄肉シームレスパイプ
小径・薄肉用途のシームレスパイプ。電気機器、医療機器、自動車の部品として、難加工材チタンのシームレス化にも成功しています。
直径 φ3mm〜φ10mm
板厚 15μm〜100μm
全長  〜400mm

 

小径・超薄肉シームレスリング
小径・薄肉用途でのシームレスリング。医療機器の部品として開発中です。
直径 φ3mm〜φ30mm
板厚 15μm〜60μm
全長 3mm〜

 

超薄肉シームレスベルト
耐熱性・耐食性に優れながら、さらに疲労強度を高めた結果、駆動伝達用ベルトの基材として優れた特性を発揮しています。
直径 φ20mm〜φ160mm
板厚 15μm〜60μm
全長 3mm〜400mm

 

ソコ付きシームレスケース
底部・円筒部に溶接部が無いため耐食性に優れており、厳しい使用環境でも優れた特性を発揮。電池用ケースの候補として採用実績があります。
直径 φ20mm〜φ60mm
板厚 50μm〜300μm
全長 50mm〜400mm

 

CONTACT US お問い合わせ

  • チタンや高強度合金など難加工素材の鍛造を
    考えている
  • 大型鍛造部品をワンストップで対応してほしい
  • 工法転換でコストや精度の課題を解決したい
難易度の高い鍛造、豊富な設備を
活用した
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遠藤製作所はお客様の製品開発段階から技術提案型の開発パートナーとしてプロジェクトに参画しています。
製造方法の最適化や素材転換提案、金型製作、量産化、コストカット、軽量化など、遠藤製作所の知見や技術を活用しつつ、実現可能なソリューションをご提案します。
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